講師:大島依提亜(アートディレクター)
課題「半年間で1枚の絵を描く」
今回の課題は、半年間、毎日少しでも筆を入れて1枚の絵を完成させる、という前代未聞の試みでしたが、それぞれの個性や問題意識がよく出た力作が並び、その絵に折り畳まれた時間の厚みに思いをはせると感慨深いものが。
半年間「毎日描く」という呪い?をかけられたみなさん、お疲れさまでした!
そしてInstagramで毎日チェックしてくださり、折りにふれて激励のメッセージをくださった依提亜さん、ありがとうございました!
全員の作品を紹介していきたいと思います。
1人目は、のせなおみさん。
無計画に描いていったものが組み合わさった時に生まれる面白さ。
上下左右を組み替えても成立するパズル性。
モチーフや色、形が変奏され、絵の中の要素が響き合って全体として調和を感じます。
細部までじーっと見ていたくなる、とても見応えのある「遅い絵」でした!
2人目は栗林さちさん。
栗林さんが得意とする赤と黄の色づかいの引きの絵で、横へ横へと続いていくストーリー性のある絵。
ラストのエモーショナルな色彩展開にグッときます。
引きと寄り、ストーリーと色彩の関係を考えさせられました。
3人目は、まるやまゆうじさん。
途中経過を見ていて、どうなるかまったくわからなかった一人です。
毎日一色つくってキャンバスにのせていき、不思議な形と色彩の絵画に。
冒険は続きます。
4人目は、おおもとゆきこさん。
ビートルズ『サージェントペッパーズ~』のジャケットです。
膨大な人物を毎日少しずつ描いていき、最後に切り貼りして完成。
最終的に重なり合って顔しか見えない人物ですが、実物は妙な厚みがあり、その厚みに半年間という時間が凝縮されているようで心が震えました。
5人目は、オサジマケイコさん。
毎日スケッチをして自分の線を探る。
形や線、色のつけ方、目の描き方、自分のスタイルを見つめ直す半年間。
依提亜さんが褒めてくださった目の描き方が最終盤に描いたもので、やっぱりいろいろ試してみた上で自然に描けた時に、いいものが描けるんだなぁと深く納得。
6人目は、SEIICHIさん。
時系列に見ていくと、エアブラシを使ったスタイルがどんどん変化、洗練されていく様子が伺えます。
ひとつのスタイルを突き詰めていくとはどういうことか、そこからどう課題を見つけるか、勉強になりました。
7人目は、つきみのさん。
人が見たときに「この絵は完成している」と思わせるにはどうするか。
時間をかけて描き込めばいいのか(密度を上げる)、広げていけばいいのか(大きくする)。
平面性と奥行き、どこで筆を止めるか、作品の「完成」とは何か?絵を描く人にとっての永遠の課題です。
最後はミカミシンタロウさんです。
1人の女性がいる風景が横へ横へとつながっていく、絵巻物のような作品。
色付けもしたかったとのことですが、絵として完成させるのか、ラフのまま完成させずに次へ次へと続けていくのか、完成とはなにか?これまた考えさせられました。
以上です。
そして今回の作品をふまえて、次回(1/26)の授業の個別課題も依提亜さんから出ています。
中には引き続き毎日描いている生徒さんも。
次はどんな作品が見れるか楽しみです!