第3回 パレットクラブ読書会
『百年と一日』読書会、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
講師の名久井直子さんがブックデザインを担当されている本書。
10ページにも満たない短編の中に、人や場所の長い時間が圧縮されていて、小説の速さに驚きます。
出来事は私たちのつくる物語とは関係なく実在している、その不思議な感触を伝えてくれる小説集かなと思いました。
どの短編も、淡々と出来事が語られていくだけで、「結局、何の話だったんだろう」となってしまう。
なのに妙なリアリティを感じる。
長谷川潾二郎の装画も示唆的です。
この読書会で小説を読むのは初めてでしたが、「たまたま降りた駅で引っ越し先を決め〜」のラストの佐藤に似た女は幽霊なのか別人なのか、「兄弟は仲がいいと言われて育ち〜」の弟の失踪の肩透かし感、「解体する建物の奥に〜」の捨てられた原稿の行方など、具体的な細部について話すのが面白かったです。